ヱ(絵) 初心 ・・・・ 外れの石橋、渡し舟、風変わりな街灯
距離対感度特性の加工 ・・・ STC 感度距離平均、コセカントアンテナ
スポラデックE層
自由空間電波の強さ
面と線レーダー方程式
問題集からパラボラ
LCXとGライン
円筒形アンテナ
陸海 文書 雑ヱ 初心
外れの石橋
小学校入学の頃の登校時の風景が思い浮かびました。早速それを絵にしてみました。
水運びのお姉さん・おばさん・おばあちゃんたちがアルバイトしてました。私達の通学路は彼女たちの仕事道でした。
そのラッシュが登校時間といっしょだったのでよく覚えています。その2年後に上水道全域が開通して
町で盛大な祝賀行事が行われました。 後年、川柳の大家になった同級生某が虚無僧に仮装して行列の先頭でした。
水道ができるまでのおばさん達の活気もさることながら、満足な水量があったものと今更ながら感心しています。
先年尋ねてみたら、校歌にまで歌われたこの名清水も枯れたのでしょうか、
あの大井戸に水道水が注がれていました。あべこべです。
・・・くむともつきぬわが里の 栄はながし幸清水・・・
そのほかにもこの道は私にとって数々のおもいでのある道です。
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渡し舟
阿武隈川、今は橋が架かっていて便利です。昔は舟場といって渡し舟がありました。川岸の部落の共同経営で船頭当番が世帯ごとに回ってきます。30世帯ならば月1回ですが増水期には2人漕ぎ3人漕ぎの日があるので早く回ってきます。ワイヤーを手繰って進むようにしてあるのが普通でした。流れと舳の向きをうまく合わせると力なしで進みます。そんな時にはマストがワイヤーで磨かれるので凸凹ができて黒光になっています。逆に、水が少くて底が擦る時などには竿を使ったり客に手伝ってもらうことがありました。
馬車は馬と車を1度に運べます。いわばカーフェリーです。対岸の火事ではポンプ車と消防員を満載して渡りました。弓張り提灯が川に映って頼もしく勇ましい光景でした。 向こうから消しに来てくれたこともあったそうです。
ずーっと昔から、その舟を造る時は越後から船大工を呼んだんだそうです。新潟で育ったから分かりますが、大船・小舟がたくさん使われていました。大きい川あり海あり潟湖あり、また深い田んぼでは稲刈りにも舟を使っていました。多くの需要があったから技術が育ったのです。
(舟を使う田んぼ・・・今はありません。僕が小学生の頃。)
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風変わりな街灯
街灯は普通、街路の片側か両側に点灯しています。
ところがあの付近の町々では街路の中央に、ブリキの笠を付けた電球が両側から渡した針金に下げられていました。
夜になってその道を通っても高いところで光っているだけで通行人を照らすには弱々しい光です。
その土地の住人になって(住民税を納めたのだから本ものだよ!)冬が来てはじめて分かりました。 雪が積もると点々と光る電灯の下に細い道が1本出来るのです。歩くときその道を外れたらズブッと体が埋まってしまいます。通行人に踏み固められたところだけが道なのです。雪のないとき、ばかに高いと思った電灯もすぐ頭の上で結構照らしてくれました。
なによりも有難いのは、次々と電灯の下を通って行けばヌカることはありません。買い物は店員が造った雪の階段を降りれば店の前です。
年々機械で除雪が行はれるようになり、ぼくが住んでいるわずかな間に、この街灯は取り払われました。代わりに他所と同じように道路わきに洒落た街灯が点きました。
今思ってみると独特の情緒ある風景でした。魚沼、南魚沼、十日町市方面各所の昭和20年代までの豪雪地商店街の姿でした。
距離対感度特性の加工
◎ STC(感度距離平均) 【Sensitivity Time Control】
今や殆どのレーダーに、STCという回路が組み込まれている。
私が携わった時代のレーダーには着いていなかった。
付加すれば操作が複雑になり、本来の目的が支障する ?・!
米英もこれの実用は、大戦末期か戦後のことと推察している。
彼我ともに警戒レーダーに八木アンテナを使わなかった。STC未使用では近傍エコーの煩雑を解消できなかったためだ!
【攻撃電探・標定機には八木アンテナが使われた。】
レーダーの電波は往復する。往路には距離の2乗に比例して減衰する。 復路にもまた距離の2乗に比例して減衰する。
都合、距離の4乗に反比例した感度差が生じるので、近傍の感度が過大で観測しづらい。
近距離の強すぎる反射波を抑圧して、感度差を均す働きを受信機に仕込んだのがSTC回路である。
手元に終戦数年後にメモしたSTC回路図がある。多分米軍のものと思う。
このSTC信号を可変μ増幅回路にバイアスとして加える。
俺たち「そんな物、監視範囲に応じて利得調整するから要らない!」
現在ではレーダーは勿論、超音波医療器にも働いている。画像から解かる。
◎ コセカントアンテナ
マイクロ波で『燈台下暗し』を防ごうと垂直面指向性の鋭さをわざとぼかして近くにも感度を保持する
コセカントアンテナは、前項と一見矛盾する存在だが、局地戦闘用でなくて空港管制に適用?!専門技術者向け参考 14/7
スポデラックE層を体験した。夏の日中60MHz,F3, 30w ? 新潟・鹿児島間 1000q。明瞭に送受話したが数分間で消滅
国鉄の災害用移動無線局。移動業務としての免許であったが、2局が対向して通話回路が構成されているので固定局並みに交換台を経て常用されていた。災害発生時に対抗組合せで災害現場に移動するのが建前だが、常用していた。災害が起きてから持ち出すと、急場でまごついて始動に手間取るから。
対向は一方が越後川口、他の一方は長岡で、その間は17kmだが稜線回折伝搬なので電界不足で雑音があった。通話輻輳時には雑音を我慢して使われていた。
異常発生は
1960年?、1961年? どちらかの初夏だった。 長岡交換台から通報があって保全担当の私が対応した。
受信入力目安のリミッター電流がいつもよりはるかに高い! テスト以外でこんな値を示したことはなかった! 異常電波に乗っ取られている?
モニター用送受話器をとって呼びかけてみたところ鹿児島の交換台だと言って明瞭な応答があった。
そうだ!スポラデックE層が発生したのだ。仕入れたばかりの知識だったが気が付いた。
しかし、鹿児島はアンテナの主方向から右に50度ずれている。にもかかわらずだから強い電界だ!
数分間続いたがリミッター電流が平常に戻った。鹿児島の声は消えていつもの雑音が現れた。発生からの時間は合わせて凡そ15分〜20分か?
日時その他の詳細は電波法に従って無線業務日誌に記帳したが60年経て、あるはずがない。
郵政省は遠隔だから相互干渉はないとして同じ送受信の組合せで周波数割り当てをしたに違いない。
なお、アンテナは送受信別で3エレ八木での一方が垂直、他の一方が水平、いずれがどっちか忘れた。スポデラックE層の影響はVHF下端で、凡そ70MHzが上限? (HF、MFでは発生の頻度は高いがE、F層の作用に隠れて気付かない)
発生の解説は、ネットにも出版物にも多々あるので譲る。
影響を受けたときは、アマチュア無線では『吉報』だが、通信業務では『事故』である。軍用レーダーでは攻・守の立場で吉・凶の違い!
自由空間での電波の強さ
無線通信路の設計で送信機から受信機に到達する電波の強さはいかほどになるか。
設計時点で地上の2点間での電波の到達強度を計算して、SHFは驚くほど実際が計算値に合います。
VHF、UHFの計算をしたことがありますがこのようにぴたりとは合いません。
それは、高い周波数では電波の通り道から地表までの高さが波長に比べて大きいので、 複雑な地形から反射或いは吸収を受けなくて、無限の空間、(自由空間)の状態になるからです。
自由空間の電波強度を求める計算は、球の表面積を求める公式を使用するだけで単純です。
球状にx軸、y軸、z軸、全方向に均等の強さで電波を輻射する架空のアンテナを考えます。
その上で、計算の基準になるモデルを作ります。
基準モデル
(1) 区間距離 10 km
(2) 受信アンテナの面積 1 u
(3) 送信アンテナの利得 1000 (30dB)
(4) 送信機出力 1 W (30dBmW)
送信側にアンテナの利得、受信側にアンテナの面積とちぐはぐですが、こうすることで周波数(波長)が計算に無関係になって面白いのです。
考え方
(1) 送信点を中心にした半径10kmの球を考えます。
その球の表面積は、4πr2=4π×(104)2=4π×108 (単位はメートル) 4π≒12.57
即ち、12.57×108平方メートルにエネルギーが均等に拡散します。
(2) そのうちの 受信アンテナ 1 u に捕まった 1/(4π×108) が受信に使われます。( ≒0.785×10-8 ・・・-90dB)
(3) 次に送信アンテナに利得という性能があります。目的の方向に集中して送信すれば到着するエネルギーが増えます。
その倍率を利得と言います。いまは 1000 倍。(30dB)
モデルの計算結果 受信入力(無負荷)は 0.785×10-3 mW ≒-30 dBmW
基準モデル値を設計に合わせた数値に入れ換えます。
(1) 距離の2乗に反比例
(2) 受信アンテナの実効面積に比例
(3) 送信アンテナの利得に比例
(4) 送信出力に比例
(5) 負荷損失 1/4 (-6dB)
この5項目の数値の書き換えに続いてアンテナ機器間の損失などの再修正をすれば受信機入力が求まります。
波長は計算に入れなくてもよいので教科書や専門書の計算式より簡単です。結果は全く同じです。
なぜ計算に波長が、かかわらないか?
それは、せっかくアンテナ屋さんが計算〜実測してくれたものを棄てないからです。
面と線
電波に使うアンテナは波長の長いものは『線』状で、波長の極めて短い場合はパラボラなどのように『面』状である。
メートル波レーダーの受信電界強度計算をマイクロ波用の計算方式 “レーダー方程式”などを適用させて、届くはずがないと判定、
ところが実際は受信できた!? 計算方式の適用を誤っているからだ!
マイクロ波は『面』でエネルギーを捕える考え方の計算、それに対してメートル波は『線』への誘電を計算する。【線に面積は無い】
解析するに反射物体もアンテナと見做すのだが、マイクロ波では『面』と見て、メートル波は『線』と見る。
メートル波では翼もプロペラも、胴体も『線』と見做して、その線に誘導した電流を電波に変えて反射する。
近似波長の敵機レーダーアンテナは有効な反射物体だ。
欺瞞紙(チャフ)からの反射も“レーダー方程式”では解けない。 『線』だから!
マイクロ波とメートル波(VHF)の間のデシ波(UHF)はどちらの考え方も適用できるので何れか得意の方法で行う。どちらでやっても合うはず。
概略だが、仮想の『面』を考える。
線の長さが凡そ半波長のとき、半波長を対角線とする正方形。 但し、線と波面は平行 そして、【線長が半波長を超えても仮想面積は増えない。】
電波を周波数帯で表現するときは国際電気通信条約によって
VHF,UHF,SHF,EHF 等に区分されており世界共通で絶対的だ。対して
波長区分は、場合、場所、個人等によって適当に扱っている。私も
数値によらず概略に、針金配線が不可で、立体回路を使うのをマイクロ波としている。
レーダー方程式
解説に代えて、平成13年7月期第一級陸上無線技術士試験無線工学A出題から(A−10)
レーダー方程式を用いて用いたパルスレーダーの最大探知距離として,正しいものを下の番号から選べ。ただし,送信せん頭電力を1,000[W],アンテナ利得を30[dB],アンテナの実行面積を1.6[m2],物標の有効反射面積をπ2「m2」とし,物標は,受信時に受信電力が−80[dBm]以上のとき探知できるものとする。
(1) 5[km] (2) 7[km] (3) 10[km] (4) 15[km] (5) 20[km]
解答の指針
距離R[m]の点において,無指向性アンテナから送信せん頭出力P[W]で発射された電波の電力密度は,P/(4πR2)) [W/m2]であるから,R[m]にある有効反射断面積σ[m2]の物標からの反射波の反射電力Prは、題意のレダーアンテナの利得G=30[dB]を用いて次式で表される。
Pr = (GG[dB] / 10Pσ) / (4πR2) = (103Pσ) / (4πR2) [W]・・・(1)
反射波がレーダーのアンテナに到達したときの電力密度は,Pr / 4πR2 [W/m2]
であるから,受信電力Sは,式(1)とアンテナの実行面積A[m2]を用いて次式で表される。
S = { (103*Pσ) / (4πR2) } { (A / 4πR2) } [W] ・・・(2)
最大探知距離Rmax[m]は,Sが−80[dBm]に等しくなるときのRの値であるから,式(2)に題意の数値を代入すれば, Rmaxは次の値になる。
-80[dBm] = -110[dBW]
Rmax = { (103*Pσ*A) / [ (4π)2*S] }(1/4) = { [1000*1000*1.6*π2} / [16*π2*10 -11] }(1/4) = (1016)(1/4) = 104 [m]・・・(3)
したがって,最大探知距離は,(3) 10[km]である。出典 無線従事者国家試験問題解答集 第一級陸上無線技術士 平成15年発行 電気通信振興会
問題集から パラボラ
LCX(漏洩同軸ケーブル)とGライン(誘電体表面波線路)の伝送模式
LCX とGライン 目的は共通で、電波を撒きながら伝送する線路。
空間電波の届かないトンネルや山陰などで主に移動体との通信に使用する。
運びながら配ってゆく新聞配達にたとえてもよい。
以上の2つは、目的は同じだが、原理・手段は違う。
LCX は、
太めに作った同軸ケーブルで、外部導体に連続繰り返してスリットを開け、
電波を少しずつ漏らして途中に分配するもの。
軸と平行だと漏れ出ないのでスリットは斜に切り込んである。
LCX からの電磁波は前方に尖った傘状〜コーン状で進行〜放射する。
LCX 内を伝送する高周波電力は光速より遅いが、スリットの間隔を波長に対して適宜の値にして、漏れる位相を
先に向けて順次前進させる。結果、見かけ上、光速を上回る。そして、電磁波は傘状〜コーン状に、前進拡散させる。
Gライン は、
1本の針金に電波を乗せて先へ送ろうとすれば、途中から逸散して先まで届かない。
そこでなるべく散らさないで先まで少しでも延びるように工夫し、その上で、それでも未だ、
こぼれる一部を途中に分配する。
工夫とは、誘電率が高く、損失が少ない材料で被覆することで、針金を進む電流を、併走する電波よりも遅らせれば
先がすぼまるのでその原理で逸散を抑える。そして、できるだけ直線に架設する。
(電波がカーブの外側に余計に放散されてその先へ行く分が少なくなる。壁際もよくない)
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◆円筒形アンテナ
大戦後、米国とソ連が冷戦状態に波及した。その冷戦中、米側陣営で『象の檻』アンテナに精密な指向性を与えて鉄のカーテンの内側から多くの情報を探知した。その『象の檻』アンテナがまだ登場する以前に基礎原理が同じアンテナの活用をわが海軍が企画した。残念にも未完成で終わった。
円筒形アンテナが手間取ったため14号電探は上記のように「絞射空中線」を使わなければならなかった。
占領軍の調査から
Cylindrical Array
A large 6 meter cylindrical antenna was designed for 360 degree electrical scanning. This antenna is 19 meters high and 17 meters in diameter. It is composed of 24 vertical elements arranged as shown in Figure 6. It is horizontally polarized. A rotating goniometer located in the center of the array two meters from the base sweeps the beam by shifting the phase of the various elements. The main lobe is 18 degrees in the horizontal plane. The principal minor lobes are two 12% back lobes (one on each side) and two 9% side lobes in front. The theoretical gain is 18.7 db.; actual overall gain is about 16 db. This antenna has not progressed beyond the experimental stage. Since the only antenna built has been destroyed additional data is not available.
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円筒形アンテナ
波長6メートル用の円筒形アンテナを電気的に360度走査する設計がなされた。 このアンテナは直径が17メートルで 高さは19メートルである。 それは、図6に例示するように、縦に24の素子により構成されている。それは水平偏波である。 ベースから2メートルの配列のセンターに位置している様々な素子の位相をシフトすることで、ビームを回転走査するゴニオメータが主役である。 メーンローブの水平幅は18度である。 サイドローブは2個で 12% バックローブ(個々の側のもの)2個で9%である。 理論的な利得は18.7 dbである。;実際の全体の利得は約16 dbである。 このアンテナは実験的な段階を越えて進歩しなかった。 唯一の作られたアンテナが破壊されたので、追加のデータは利用可能ではない。 【拙者訳】ゴニオメーターがVHF用であり、また送受信共用であるが、これらは玉3号電探と共通技術で
∴ 3次元・パノラマ(PPI)表示の構想であった!
違うのは、(1)高い解像度を要するため素子数が多い (2)地表面表示のため極座標軸が大地面に垂直
陸海 文書 雑
海軍検査出頭通知
陸軍文書
昭和二十年度陸軍予科士官学校生徒志願者心得4>
米軍教育資料
【MCMXLIII】は【 1943 】を示すローマ数字