友軍の電探システム図集

「公開された米軍調査資料をなぞったものではないか?」  まさに然り!
部分的に欠損がある場合は推定して埋めた。
原資料中の間違い部分は不合理を解消させた。
理解の便利のため図面内で配置を入れ替えた箇所がある。
理解の補助として随所に注釈を付加した。
注記を翻訳した。適宜な着色をした。
改変・補足は着実を期した。


順序は陸軍、海軍及び種別を問わず第1に周波数、第2に古いものからの順番とした。 但し、
誘導乃至バッジヂシステムに関するものは後に置いた。



可聴音変調の超短波で移動体反射波をドップラー効果によって探知




『穂先収穫』は、茎の高さを自動判別して穂を収穫する。

ドップラー効果利用  海軍は試みたが、採用しなかった。
送信点または受信点を艦船上に置けば、陸地、島など固定物体の反射電波はすべてがドップラー効果を生じて判別できない。



14号

超長距離哨戒電探が2台造られた 敵サン 硫黄島を離陸するとすぐわかる
そんなわけない!   探知距離500qとも聞いたが、まぐれだろう!   まぐれでないためには

アンテナ形式を「絞射空中線」と特別呼称しているが、八木アンテナの2列2段である。

円筒形アンテナ@d.o.(再掲)

>


タチ6号

送信所1個につき受信所複数 第2検波なし、IFのまま


地下〜半地下(指揮所・電探送受信室・電源室)立地条件の第1は排水!


タチ3号


"The horizontal arrangement of the receiving antenna gave greater elevation accuracy at high angles of elevation."



タチ35号



111号

電源投入すれば完全動作したが 教材用老兵機



113号

111から改造、修了して新品同様! 室内は見なかった  [ワレ不関]



タチ7号

第2検波なし、IFのまま (タチ6以来)



タチ18号



タセ1号



H−6

電池がなく動作せず 見る・触るだけの実習



FK−3

インバーター出力400Hz 重量改善



PPIスコープ

玉3

標的と完全に向き合うと画面上で輪が完結


玉3 PPI表示



12号

同期制御器は改良また改良 逐次安定


12号電探機器間接続図



13号改ナシ

資料なし 記憶による



13号

単相 100V でも働く



11K

アンテナ 送受共用の最初



21号

マスト上部測的所に設置


21号電探に出力増強と方向、等感度方式、測距儀を付加した機種を213号電探と称した。
そこに使用の測距儀のからくりを推測



L2

ベクトル

ベクトル表示回路


畢竟、この回路の動作は、「直並列変換」にほかならない!



タチ1号

鹵獲英軍機解析(1)



タチ2号

鹵獲英軍機解析(2)



タチ4号

方向・高角を1名で


タチ4号標定機の照準管の表示を推理する。
直列並列変換回路が見当たらないのでベクトル表示ではない。



S3

S3の実習は訓練と云うより遊びだった



S24

陸式の迷彩色



タチ31号

VHF ながらウルツブルグ方式採用

反射パルスによる距離測定
 「距離測定は反射波の立ち上がりで測定せよ」 練習生は時間軸の基点から反射パルスのてっぺんまでで測定したがる。 実習中 教官・教員は反射波のてっぺんで測っていつのを見つけるとヤカマしい。 哨戒電探の場合は立ち上がり点と最高点では1キロメートル程度の差で間違っても大したことはないが射撃用電探では間違いは許されないからだ!
 ところが、
ドイツからのウルツブルグ方式導入の射撃電探ではマーカである黒点を反射パルスの頂上にあわせて測定するよう指示されている。
 この違いをどう納得するか
射撃電探では哨戒電探に比べてパルスの時間幅は狭くて、2マイクロセカンドとすると距離にして300メートル、立ち上がりとパルス中央では150メートルの差が出てしまうではないか?

 あ、そうか!! 送信同期と時間軸の位相差を調整する際、ゼロ位置調整は、このときも、 立ち上がりでなくてパルスの中央を使えばよい!なにも悩む必要は無かった。
しかしその際には近傍反射が影響しないよう受信機利得を飽和しなくなるまで下げなければならないな!

黒点信号について考察

 従前の選択信号は画面上の選択した受信パルスの強調が目的で、信号時間幅は使用パルス幅より広いものであった。
ウルツブルグ方式で使用する黒点信号は送信パルス、受信パルスの幅の内側を探って振幅最大点に合致させるもので、使用パルス幅よりも
十分に狭い幅でなければならない。使用パルス幅が 2μs とすれば黒点信号の時間幅は直感的に 0.5μs よりも小さいだろう!
高周波の配線同様の配慮をした技法が必要である。




タキ1号−2

λ=2m



デシ波電探(UHF)

 米英、独は実戦に投入していたが、我が陸軍、海軍は、VHFの200MHzから上とUHF全域が空白。
真空管の技術が及ばなかったのが主因。次の数種が漸く生産に懸かる段階だった。


タキ2号

λ=80cm




FD−2

λ=60cm 操縦席から受信局発と利得を遠隔調整

FD−2 の表示

FD-2 特記事項

 指示器は『索敵』と『照準』を兼用しているが、照準では距離走査を上下角表示に切り替え、照準操縦を容易にしている。
これが占領米軍に興味を持たれたらしく、本機種の調査は特に綿密で紙数が多く費やされている。
表示方法、巧妙な回路でベクトルもどきを達成していた!
◆     ◆
送信アンテナが上・下に 受信アンテナが右・左に それぞれ、等感度方式対応移相差を与えて菱形に配置されている。
受信アンテナ(右)と隣接する直角配置の送信アンテナ(下)、次に受信アンテナ(左)、次に送信アンテナ(上)、
と2組ずつを組ませてコニカルスキャンを行っている。
つまり、4個のアンテナの2個ずつの組み合わせを順々に組み替えて、90°ステップで(指向角を)回転させている。
観測装置をこの回転に同期して切り替えれば、送信指向性と受信指向性が合成されて、X字状に放射した大小4個によって
ベクトルもどきを表示する。その指向最大を追って接敵する。

選択機能不要
@ 操縦員は機長であるから、他から攻撃目標を指示すれば指揮命令系統が分裂する。
  A λ=60cmは指向性が十分で自己選択は可能!



23号電探対艦を対空に

 
 垂直偏波給電のパラボラアンテナが2個上下に接して配置されている写真を見ましたが、
私が目撃したものは2個を左右に引き離して取り付けられていました。42号電探用の回転桁に仮設したものでした。概要図も左右配置です。
進化途上実験を重ねていたので次々に変化して呼称が同じでも形態が異なっていたものと思います。
第2中間周波でスタガー式を採用し、測距機構がウルツブルグ形式であるのはウルツブルグ型に改装の途中段階と思いましたが、
        或いは対水上時に既にウルツ方式を導入していたのでしょうか?

 果たしてどうかを調べてみました。

Target Report-Japanese Submarine and Shipborne Rader の総括表記載
23(s8) の項では繰替周波数=3750Hz  測距精度=±50m

Target Report-Japanese Land-Based Rader の総括表記載
s8A   の項では繰替周波数=3750Hz  測距精度=±50m

両方同じです。このことから、対空射撃用に改造する以前から測距にウルツブルグ方式が採用されていたことを確認しました。

掲載のイラストは昭和20年3月25日(日)見学の記憶を後日描いたものです。




S8A

ウルツブルグ型(海軍)



タチ24号

ウルツブルグ型(陸軍)


極座標ブラウン管



PPIスコープ

タキ14号

 SHFの下、『UHFの上半部』は有効さは分かっても閑散、
人影稀な荒野の様、戦後半導体技術の進展に伴って負性抵抗が便利になり充実した!
その『UHFの上半部』に限界挑戦機、タキ14号!


The antenna system consisted of a clipped of a 60cm. parabola with a dipole and a group of directors in front. The resulting beam was to be 6 degrees wide (horizontally) and 60 degrees (vertically). It was to be mounted in a radome beneath the fuselage. No provision was wide for tilting the antenna since the vertical beam width was so luggage.
 アンテナシステムは60cmの切抜き部分で構成され、パラボラとダイポールの合成ビーム幅は、水平方向に 6 度 、 垂直方向に 60 度であった。 アンテナは胴体の下にレドームを設けて収容する運びだった。 垂直方向のビーム幅が非常に大きかったため、アンテナを傾けるための準備はなかった。
   以上は拙者意訳

 レーダー先進の米軍は更に、『持てる国』の故に貧乏国の知恵に及ばなかった例をほかにも幾つか見つけた!
 米軍 SCR-268 は変調にコストをかけて大きな迂回をしている! 我が海軍の41号電探(S3)は外観からそれの模倣とされながら、
内容では無駄を省く知恵が多く働いていた!



タセ2号

λ=15.7cm



電波高度計 FH−1 について

直線的に「200分の1秒間に 30 MHz 変化する」とあるので、

秒当りの周波数勾配は
30 × 106 ΔHz/s × 200 = 6 × 109 ΔHz/s ・・・・(1)

------ 電波速度 ------  3 × 108 m/s ・・・・・(2)

(2) ÷ (1) = 0.05 m/ΔHz ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)

電波走行距離は高度の往復である
∴ 1 Hz当りの高度勾配は (3) ÷ 2 = 0.025 m/ΔHz

送信波と大地反射波の周波数差(絶対値)は
高度 1 m 当り 40 Hz となり 相当する周波数のビートが生じる。
これを高度目盛に書き換えた周波計で直読する。

この機種での周波計の仕組みは、ビートを低周波増幅してC 回路を切り替える。
C は定電圧箇所から一定電荷を受取って蓄積したものを下流に放出する。
C は周期ごとに定量の電荷をリレーするので平均電流は周波数に比例する。
――バケツに1杯ずつ汲んで流すようなもの。流量は回数に比例する――
これでDC電流計を振らせて換算した目盛で高度を読み取る。
右図を電子回路化したものが用いられた。


サンチ波電探(SHF)

なぜ『UHFの対数的上半部』を通り越してSHFが先に実用が進んだか?
それは、磁電管など、電子群の速度を操るに大きさが手ごろだっただから!


22号

見るだけ 聞くだけ 触らしてもらえなかった


マイクロ波電探は変調パワーが大きい、陽極変調だから!


電探測距儀



31号


3号1型は、3号2型が重量、容積大で、非現実的であるとの非難に対し、2号3型に使用した架台並びに反射鏡を使用し、導波管を架台内部に納め、
本体は同軸ケーブルを用いて接続し、空中線装置のみを回転する方式のものである。(FatherさんのHPから失敬!)

UHF用のパラボラをSHFに転用することは、メッシュの密度と放物面精度が適用限界内ならば輻射部分を交換して可能。


32号

外観だけは2〜3 近くで



PPIスコープ

51号




 友軍電探集約表

陸の部



海の部